海外インターネットビジネス動向


News Volume 81 2001年3月8日

コミュニケーションの活用

多くの一般の消費者にとって、公の場所で意見・感想を発言できる機会は、インターネットの登場以前には少なかったのではないでしょうか。機会が少なかったから発言しなかったけれども、機会があれば、どんどん商品を使った感想やお勧めのスポットについて情報提供をしたいという欲求が強いインターネットユーザーは少なからず存在しています。

これは、企業にとって厳しい状況ともいえます。自社で扱う商品やサービスに対して情報交換の場を設けなければ、ネット上の他の場所にユーザー自身が情報交換のためのコミュニティーを容易に作り上げることが可能になっています。無料で掲示板を作ることもできれば、メーリングリストを作ることもできる時代になったのです。

このことをきちんと認識していない企業は、管理の大変なコミュニティーの開設に消極的になるでしょう。しかし、前述のように、ユーザーが簡単にコミュニティーを作ることができる現在、自社の目が届かない場所で情報交換が行われるデメリットは計り知れません。商品の使用方法が分からないユーザーの質問と回答が、メーカー・サイト以外の場所で行われた場合、適切な回答がされず、間違った情報がネット上にもっともらしく広がってしまう危険性があるのです。

加えて、インターネットを通じた効果的な情報収集というメリットを生かすこともできません。インターネットが登場する以前にはなかなか得ることができなかった、商品の使用感などの貴重な情報を収集する機会を失うことになってしまうのです。

企業が適切なコミュニケーションの場を提供することは、以下のようなさまざまなメリットに繋がります。

■ 顧客間の情報交換 → 顧客教育 → 販売増
■ 顧客のフィードバック → 商品改善
■ サイトの滞在時間アップ → 顧客の帰属意識アップ
■ 顧客獲得費用の低減
■ カスタマーサービスの改善
■ ブランドの知名度アップ
■ 信頼・ロイヤルティーのアップ

コミュニケーションに関連した米国のある調査によると、コミュニティーに登録している会員は、非会員に比べて購入率がかなり高くなっています。また、アンダーセン・コンサルティングによると、約62%のインターネットユーザーが、他のユーザーの評価情報が購買に影響すると回答しています。

これらの調査結果にも表れているように、コミュニティーにはさまざまな形態があります。会員制の掲示板やチャットを設けたり、顧客が商品毎のページで評価・コメントを書き込むことができたりと、各種のコミュニケーション・スタイルがあるのです。

今回のニュースレターでは、レストラン情報の情報交換の場となっているZagat Surveyを事例に、利用者からの情報を収益に結び付ける一つの方法について解説をします。


今回取り上げる事例

Zagat Survey:
http://www.zagat.com/

書籍販売のアマゾン・ドット・コムが、書評・レイティング機能を設けユーザー間のコミュニケーションを販売増に生かしていることは有名な事例ですが、同様の評価機能を上手く活用しているのが、Zagat Surveyのウェブサイトです。

同社はもともと、各地のレストラン情報をレイティングした書籍の販売を行っていましたが、そのレストラン情報の収集のためにウェブサイトを利用しているのです。料理・内装・サービス・料金毎にレイティングしてあるため、サーチ機能やカテゴリー分類などを利用して、ユーザーが訪れる地域のおいしいレストランの情報を、自分の予算にあわせて探すことができます。

有益な情報を手に入れたユーザーの多くは、他のユーザーにも自分のレイティングを役立てて欲しいという気持ちから、同サイトを訪れてレストランの評価を行っているはずです。

その評価のためには、登録をしなければなりません。氏名・住所・電子メールアドレスを記載し、同社から届く各種の情報を電子メールと郵送で受けるかどうかを選択するようになっています。選択項目には、電子メール経由の場合には、マンスリー・ニュースレター、同社や提携企業のイベントの告知などに関するものがあり、郵送の場合には、同社のレイティングに関連した調査情報などがあります。さらに、オプション項目ですが、性別・学歴・大まかな年収を回答する欄も設け、ユーザー属性の収集も念頭においています。

登録メリットは、レストランに対するレイティングに参加できるばかりではなく、同社が発行するレストラン情報の書籍や地図、さらにオリジナル商品を25%引きで購入できることです。

このようなユーザー・メリットを明示し、ユーザーから多くの情報収集を目指す同社は、ユーザーにリアルタイムな情報提供が可能となったばかりではなく、収集したデータを簡単な加工で書籍編集に生かせるようになりました。収益源の柱となるレストラン情報誌の充実と、編集コストの削減を実現したのです。

オンラインで収集した情報を、オフラインの活動である書籍販売の収益に結び付けていくという視点は、ネットビジネスを運営していく上で貴重です。インターネットのビジネス活動だからといって、ネット上だけでビジネスを完結しなければならないということはありません。

Zagat Surveyのように、オンラインのコミュニティーでユーザーから貴重な情報を集め、その情報に基づき、オフラインのビジネスに生かしていく。このことで、オンラインでは十分な収益を上げることができない場合でも、オフラインの収益増に結び付けることができるケースがあるのです。このような流れを作り出せるかどうかを検討することが、多くのネットビジネスにとって必要なのではないでしょうか。




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