海外インターネットビジネス動向


News Volume 56 99年9月22日

滞在時間増が売上アップに

PC Data Onlineが8月に行った調査によると、米国小売業のトップ40サイトでインターネットユーザーの平均的な購入率は4.5パーセントとなっています。さらに同調査では、参加者がどのサイトで商品購入を行ったかを集計し、書籍販売のAmazon.comがもっとも利用されているということが明らかになりました。(同サイトの購入率は、平均以上の7.1パーセント)

【参考記事】
●マーケッター向け情報サイト「CyberAtlas」が同調査を紹介
Top E-Tailers of August 1999

この調査には、さらに興味深いデータがあります。購入者と非購入者の動向を詳細に分析すると、購入者のサイト滞在時間が、非購入者に比べて明らかに長いという傾向が見られるのです。米国では、市内通話料金に定額制を導入しているため、一日インターネットに接続しているユーザーが多く存在します。そのため、商品購入を行うときには、通信料金を気にすることなく、商品の仕様や価格の比較を十分に行っているのです。

ユーザーが商品購入のために十分な情報収集を行うようになるこの傾向は、近い将来日本の電子商取引にも必ず起こります。この新しい傾向を促す動きが、日本にもすでに起こっているのです。NTTが10月1日より開始予定の新サービス「i・アイプラン」を発表し、市内通話が月額1200円で15時間まで、そして3000円で37時間30分まで利用することができる2つのプランが登場します。さらに、ソフトバンク、東京電力、マイクロソフトが共同で、光ファイバー網を利用した月額5000円以下の高速無線通信を、来年夏には開始すると発表しています。

このような安価な定額通信サービスの登場により、今後日本のインターネットユーザーがオンラインで過ごす時間は確実に長くなるはずです。その時に、先の米国の調査が示す「サイトの滞在時間増が売上アップに繋がる」という事実が重要になるのです。

今回のニュースレターでは、自社サイトの売上増に結び付けるために、サイトの滞在時間を延ばすためのアイデアについてご紹介しましょう。


サイトの滞在時間を延ばすための方法

1.  コミュニケーションの促進

  ■掲示板、チャットルームの開設
  ■メールマガジンからの誘導
  ■メーリングリストとの相乗効果
  ■カスタマーサービスの充実

すでに、これらのツールを利用して自社サイトのプロモーションやユーザーとのコミュニケーションに役立てているサイトも多いことでしょう。今後、日本の通信コストが下がり、ユーザーが時間を気にすることなくインターネットを楽しめる環境が整ったときには、上記の方法をはじめとするコミュニケーション・ツールを活用し、サイトの滞在時間増を目的とした仕組み・コンテンツを充実させる必要があります。

たとえば、米国ではすでに音声によるチャットサービスが登場しています。Lipstream Networks社(http://www.lipstream.com/)が提供しているプラグインをインストールしているユーザーは、同サービスを利用している企業サイトの商品ページで、カスタマーサービス部門のスタッフと、共通画面を見ながら商品について話をすることができるのです。

この種のサービスが、日本にも近い将来登場することでしょう。さらに、多機能な掲示板も開発されることでしょう。コミュニケーションを促すツールやサービスの情報に、常に敏感になることで、効果的にユーザーとコミュニケーションを取ることができるのです。


2.  ユーザーを誘導する仕組の充実

先の調査で、もっともユーザーが利用しているAmazon.com内の各書籍ページを訪れると、すでにその本を購入している人たちが、他にどのような本を購入したかを示すお薦め本リンクが用意されています。「同じテーマで、こんな本もあるんだな」と、かなりの訪問者がこのリンクをクリックしていることでしょう。これは、訪問者の関心を他の商品にも向けるすぐれた工夫と言えます。

Amazon.comのように多くの商品を扱うサイトでは、ユーザーの関心に沿った関連商品を芋づる式に結び付けて紹介するこの種の仕組みは、ユーザーの関心を持続させ、滞在時間増に繋がるのです。たとえ、扱う商品が少ないサイトでも、商品を紹介するページのコメントの中に、関連する商品情報を上手に織り込み、リンクを付けることで、ユーザーのサイト滞在時間を延ばすことが可能となります。たとえば、バス用品を扱うサイトでは、石鹸の紹介ページに、同一の香りのオードトワレの紹介を加えるなどの工夫が考えられます。



日本のインターネットユーザーが急激に増えているという統計情報を、目にする機会が増えています。しかし、多くのインターネットユーザーは、電子メールの使用頻度は高いが、ネットサーフィンにはそれほど積極的ではないのです。その妨げとなっているのが通信料金の高さです。しかし、こうした傾向も、自由化や外国企業の参入により、市内通話の定額制に向けて徐々に変化していくことがはっきりと見えてきました。この動きを的確に掴み、ユーザーのサイト滞在時間増を売上アップに結び付けていく工夫は、今後重要な検討事項になります。購入率を上げる工夫とともに、十分に検討してみてください。




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